バンコク | NIST International School | 6 | 絵画 | 松本 百華 |
「負の歴史」に向き合う大切さ
新緑の時期になると『忘れていてごめんね』を読み、作文を書く。小学生の時から数えて、今年で六回目になる。その間、私は様々な体験をし、考えてきた。祖母や家のウサギを亡くした時は、人間もウサギも、命の重さは皆同じであると実感した。太平洋戦争の激戦地だったグアムを訪れ、戦没者の慰霊碑を見た時は、隙間なく並んだ小さな文字に、背筋が凍るような恐怖を覚えた。海洋汚染について学び、人間は今なお環境破壊という形で動植物を苦しめ続けていることにも気づいた。
小学六年生の夏には、広島に招待していただき、平和祈念式典に参加した。物語の冒頭に出てくる「広場」に自分がいると思うと、不思議な感覚だった。また、外国人が多く訪れていたことも、印象的だった。年齢、性別、国籍等が異なる多様な人々が、心を一つにして平和のために祈っていた。しかし、七十数年前のこの地では、醜い争いが起こり、多くの命が奪われていたのだ。
以前、友達がアメリカ人の英語の先生に、原爆について学んだことを話していた。その時私は、先生が自分を非難されていると思うのではないかと心配になった。しかし、先生は友達のたどたどしい英語を懸命に聞き、頷いていた。自分の国の過ちに真っすぐ向き合う姿勢を見て、私は自分が恥ずかしくなった。
世界には、戦争や植民地支配などの「負の歴史」が多くある。それらによって、相手国への嫌悪感が根強く残り、日本と韓国のように、国際関係に亀裂を生むこともある。そうならないためには、私の先生や、「忘れていてごめんね」と言った男の子のように、自分達の過ちから目を背けず、歴史を正しく、多面的に学ぶことが重要だと感じた。 このように『忘れていてごめんね』は、多くの気づきを得るきっかけをくれた。私は今後も、それらを大切にして生きていきたい。動植物が共存できる、平和な世界を目指して。
岐阜 | 各務原市立 鵜沼中学校 | 中3 | 感想文 | 平田 菜々花 |