Bangkok
Patana School | 6 | 絵画 | 宇佐美 璃 |
「今年も夏が来たな。」 爽竹桃が咲き誇り青空が広がるとそう感じる広島市民も多いのではないだろうか。 78年前の8月6日、 そんな青空を引き裂いた一発の原子爆弾。当たり前の日々と大切な人を一瞬で奪われた悲しい過去が広島にはある。 永遠に忘れてはならない悲惨な過去だ。 私の部屋からは原爆ドームが見える。 清らかな川はゆったりと流れ、 青々と茂った木々の中に原爆ドームはそっと佇んでいる。 原爆ドームは広島の街に溶け込み、窓から見る景色は一枚の絵のようだ。 穏やかな風景画。 だから私は、戦争を過去の事だと思ってしまった。 凄まじい体験談を聞いても、 街が赤と黒の地獄絵になったと知っても自分の住む広島の街と重ねることができなかった。
そんな私を大きく変えた出来事がある。 それは平和資料館で展示物を見たことだ。「今もまだ戦争は終わっていない」 と魂が叫んでいるようだった。 悲惨な過去から目を背けず 叫びを受け止めなければならないと感じた。 そして、 平和を願わずにはいられなかった。 平和な世界を作るのは難しいことかもしれない。なぜなら国や文化が違えば考え方も違ってくるからだ。 けれど大切な人を思う気持ちは、国や文化を超えてみんな同じだと思う。その気持ちを一つにすることは難しいことではない。 原爆ドームを訪れ、 祈りを捧げる人々の心は一つ。 平和を願う気持ちは、 分かち合える。 私はそう信じている。
夾竹桃物語は、 他にも忘れてはならない大切な事を気付かせてくれた。 残された人に勇気を与え苦しみから立ち上がらせてくれた草花の存在だ。 街に緑を蘇らせ、 人々に笑顔を咲かせてくれた草花。 生き残った夾竹桃は、 未来が幸せであり続けることを強く強く願っている。 「忘れていてごめんね。 そしてありがとう。」
私は、 当たり前の日々に感謝して生きていきたい。 そして被爆した全てのものの思いに
私の思いを重ねて未来へ繋いでいきたい。