バンコクバンコク日本人学校2絵画竹間 実花子
奈良斑鳩町立 斑鳩中学校中3非戦非核渡会 希光

すべての人の心へ

「わすれていてごめんね」と にぎりしめたキョウチクトウに少年は、 ささやいた。それは慰霊碑さえない動植物への想いだった。
「気づかなくてごめんね」と 読み終えた本を手に私は、つぶやいた。昔 ヒロシマを訪れて原子爆弾の悲惨さは知ったつもりでいた。でも本当は何も分かっていなかった。
 炎に包まれても生まれた場所から一歩たりとも動けなかったキョウチクトウのような植物にも、それを助けようと自らを犠牲にして倒れていった犬のような動物にも命がある。
 私達と同じく父母から与えられ いずれ子供達へと続いていく大切なもの。過去から未来へとつながっていく かけがえのないもの。そのような命を奪うのも人間、守るのも人間だ。全てが人間の行動次第、考え次第だ。
 人は誰しも楽しかった事は、いつもまでも覚えていたい。嬉しかった思い出として未来へも持っていきたい。悲しかった事は今すぐにでも忘れ去りたい。過去へと置いていきたい。しかし毎年、人々が平和を祈る場所で数十年前の同じ日に起きた事だけは、どんなに辛くても目をそむけずに将来へ伝えなければならない。八十億を超える人の命、数えきれない名もなき動植物達の命、全てを未来へとつなげていくために永遠に忘れてはならない。
 次々と仲間が倒れていったあの日を見た年老いたカラスや 大地や川や空、全てが焼きつくされたあの日を何も知らないアリや魚やセミ達がどれだけ平和を望んでも人間には何ひとつ伝えることはできない。そのような声ひとつ上げられない動植物達の代わりに私達こそが願いを伝えなければならない。スズメやハトの涙が少年の涙によって「希望」へと変わったように今は小さな願いでもいつかきっと大きな「希望」へと変わるだろう。その想いをすべての人の心へ届けよう。二度とキョウチクトウを悲しませないためにも。

三重川越町立 川越北小学校6感想文伊藤 真理彩