福島県知事賞
お話を聞かせて |
キョウチクトウのお母さんの話は、今までだれにも聞こえなかった。でも、五十五回目の夏に、はじめて少年が聞いてくれた。この少年のように、木の枝をそっとにぎりしめていれば、本当にお話が聞こえるのかな?
ぼくには、今聞いてみたい木のお話がある。それは、ぼくの住むいわき市から五十キロ北にある、とみおか町の夜の森公園の桜なみ木の話だ。この桜なみ木は、「桜のトンネル」とよばれるくらい長く、毎年たくさんの人がお花見をしていた。ぼくも、お父さん、お母さんと三人で、一度だけ行ったことがある。三才の時でよくおぼえてはいないけど、桜のトンネルの下でとった写しんがある。
でも、今はだれも近くで見ることができないんだ。去年の三月十一日の大しんさいで、原発事こが起きてから、近づけなくなってしまった。お父さんが、テレビのニュースで、桜のトンネルを見ながら、ぼくに言った。
「人間がいなくなっても、桜はきれいにさいてるね。放しゃのうは、平気なのかな?こんなことになるなら、お前をつれて、毎年桜を見に行けばよかった」と。
ぼくもそう思う。ぼくは、キョウチクトウのお話を聞いた少年のようになりたい。でも、桜の木のそばで、枝をにぎらないと聞こえないのかな?桜は人間たちに、
「じょせんをして、早くもどって来てよ」
と言ってくれるだろうか?ぼくから桜たちに、こう聞いてみたい。
「君たちは、原発事こをどう思っているの?放しゃのうは大じょうぶなの?人間がいなくて、こまっていることはない?お花見に来る人がいなくなって、さびしくない?」と。
桜だけでなく、動物たちともお話がしたい。人間たちは、ひなんしたけど、のこされた桜や動物たちは、どうすればいいんだろう?
地球に住んでいるのは、人間だけじゃない。ぼくは、動物や植物のような自然と人間が、お話できるようになればいいと思った。 |
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福島 |
いわき市立 平第三小学校 |
小3 |
感想文 |
笠井 智貴 |
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